夏草冬濤ノオト

夏草冬濤 (上) (新潮文庫)

夏草冬濤 (上) (新潮文庫)

夏草冬濤 (下) (新潮文庫)

夏草冬濤 (下) (新潮文庫)

  • 丹那トンネルが開通したのが昭和9年(1934年)で、同じ年に現在の三島駅も開業した。洪作のモデルである作者 井上靖が沼津中学に転入したのは大正11年(1922年)のことなので、この小説の時代背景として、現三島駅はまだ存在していない。当時、東海道本線は現在の御殿場線を走っていた。
  • 小説中で三島の「駅」と書かれているのは、現在の三島広小路駅のことと思われる。当時、三島−沼津には東海道の街道に路面電車が走っていた。
  • 沼津中学校(旧制)は現在の沼津東高等学校の前身だが、この当時は現在の沼津市民文化センターの場所にあった。
  • 本作では、これから洪作が下宿しようとする「港町の寺、妙高寺」は妙覚寺


以上、夏草冬濤を再読した際に調べたことなどをメモしておく。べつにこれらのことを知らなくても、この小説を十分に楽しむことができると思うが、井上さんはこの小説では特に彼を育んだ風土を丁寧に描いているので、その舞台の土地勘をもつことで、さらにこの小説を楽しめると思う。というよりも、上記のメモは小説を読みながらGoogle Mapを眺めながら、疑問に思った点を調べた結果にすぎない。

他にも登場人物のモデルの詮索なども可能ではあるが、そっちには私は興味ないんだな。興味のある方はこちらをどうぞ。

井上靖 (新潮日本文学アルバム)

井上靖 (新潮日本文学アルバム)

refs:
井上靖 - Wikipedia
三島広小路駅 - Wikipedia
静岡県立沼津東高等学校 - Wikipedia