二流の人、あるいは空気の代弁者/保阪正康, 瀬島龍三—参謀の昭和史 (文春文庫)
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それよりも、いまの日本の大きな組織、官庁なり大企業なりで有能と言われている人たちと彼との類似点を観察してみる方が面白い。あるいは、あなたがそれらの組織で優秀と評価されている人ならば、自分と彼とを比較してみることは、多少とも意味のあることではないかと思う。
山本七平は、日本の組織では重要な局面における判断が「空気」によって支配されると言っている。そのような組織において優秀と認められるためには、他人に先んじてその空気を察知して、それを言語化し「空気の代弁者」となることが求められる。彼はそれに秀でていたように思う。そして、今年「KY(空気読め)」なる俗言が流行ったという。自分が正しいと思うこと(義)というのはこの国ではあまり重要視されないらしい。
和を以て尊しとなす、と人は言うが、聖徳太子がその言を発した背景には骨肉相食む畜生道の如き当時の宮中を巡る諍いがあったわけで、争いがあってこそ、和が重要なのだと思う。いままでの我々は「和」に囚われすぎていたのかも知れない。私の尊敬する勝海舟先生は、政治においては戦争しないことが一番重要だと仰ったそうだ。一方、瀬島龍三は戦略と戦術とを区別することが重要だと言っていたらしいが、その場の戦術としては争っても、大局的な戦略として戦わないこと、なぜそれができなかったのだろうか?
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- 作者: 山本七平
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