尾花のうなぎ


うまい。本当に、うまい。
私は鰻好きなので、鰻なら何だって旨い。こないだ吉野家のうな丼を喰ったが、あれもじゅうぶんに旨い。しかし、ここのは少々趣を異にする。
うな重(中)を喰い終わって思ったことは「もっとずっと喰っていたい」ということの他に、オレが死ぬ前に喰いたいものは、この尾花のうな重だな…ということだった。いや、本当にそう思ったんだよ。『「食」の自叙伝』*1という食についてのインタビューをまとめた本の中に「最後の晩餐」という質問があって、死ぬ前に何が食べたいかを問われている。それを読むたびに「死ぬ前に何か喰いたいなんて思うかね?」って今まではおもってたんだけど、今日は答が見つかった気がした。
だがしかし、ここんちの鰻は「生きる力」を与えてくれるので、死ぬ前に喰ったりしたら、while(still alive){eat 尾花のうな丼;}の無限ループに陥りかねないのだが…。
鰻の白焼き というものも、初めて旨いもんだと思った。鰻は所詮は蒲焼き…といままではタカを括ってたんだが、白焼きというのは実に旨いものである。
「うざく」というもの。私はよく鰻の焼いたのを買ってきて、これを作るんだけどね、これもまた、そういうのとは全く次元を異にするものだった。二杯酢は甘くて良いのだな、逆に酸味が立ってはいけないのな。
焼き鳥、これがまた、まんま、私の好み。タレが旨くて、肉が小さくてジューシー、しかも全体としてはボリュームがある。
「う巻き」を頼まなかったことが実に惜しまれる。
そしてここが肝心なところであるが、お店が実に清潔なのである。そして女中さんたちが実に清楚なのだ。年齢は「ババさま」かも知れない彼女たちが楚々とした範囲の中でそれぞれのお洒落を楽しんでいる風が何とも嬉しかった。
私的鰻ランキングで、丸静はご近所なんで別格として、浅草の初小川に匹敵する、ってか、あそこに行ったのも随分前なんで、また喰いに行きたいな、っと思わせるものがある。
どうも、ごちそうさまでした。

*1:

「食」の自叙伝 (文春文庫)

「食」の自叙伝 (文春文庫)